日本の伝統工芸の技術を導入したドレス

婦人服の正装である様々なドレスは、現代日本では、振袖などの伝統的な正装と同じように定着しまた多くの人に愛用されています。明治時代、上流婦人や政治家の妻たちは、西洋での習慣を学び模倣することにより、ドレスの着こなしを自分のものとしてきました。洋服が世界的に標準スタイルになるにつれ、デザイナーも洋服の伝統でない地域から出てくるようになっています。日本でも、幾人かの世界的ファッションデザイナーがいるように、ヨーロッパの本場でも、日本人やその他の外国人が活躍する時代となりました。そうした中、洋服にもヨーロッパ以外の伝統民族衣装の特徴を取り入れたファッションも数多く見られます。つまりドレスそのものが、インターナショナルなものとなったと言うことができます。

例えば、インドのサリー、中東のゆったりした衣装、チャイニーズ風、また着物のようなシルエットを持ったドレスなどは皆が見たことあるはずです。一方、イヤリングなどの宝飾品は逆にヨーロッパ人が外国から取り入れた習慣であるのも事実です。こうした中、洋服や女性のドレスの素材である生地にも、多種多様なものが取り入れられています。

例えば日本では着物に使用される紬がドレスに使用されています。去年、石川県の牛首紬はパリコレの新作ドレスの生地となりました。牛首紬は、二つの蚕が一つの繭の中に双子のように入り、それぞれが別の糸を出しながら作った玉繭とばれる繭から紡いだ糸で織ったものです。その糸は複雑に絡まっているため、紡ぐ人は大変高度な技術を要求されるのです。そうした職人のほとんどは現在80歳代と高齢になっており、牛首紬の技術の継承は今大きな課題となっています。石川県はこの伝統技能の伝承に力を入れていますが、このヨーロッパ進出も、牛首紬発展のための大切な布石といえましょう。牛首紬は、独特の光沢があり、非常に丈夫で、使えば使う程風合いが出ます。また、染色も一つとして同じものはなく、まさにオートクチュールにふさわしいと言えます。また、現在日本では他の素晴らしい技術を持ったデザイナーもいます。布全体にビーズを縫い込むのです。このデザイナーはやはり世界的に知られており、制作には一着約一年をかけるということです。ビーズを縫い込まれたドレスは、まるで宝石が光るように重厚感があって、非常に素晴らしいものです。このデザイナーは、着物をドレスに改造する試みもしています。日本の着物は、平面の中に織や染めの技術を見せるものですが、形がモノを言うドレスにも日本の技術が生きる時代が来たと言えるでしょう。

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